節分
お久しぶりのpochiでございます。
山家様に2月だから兄貴(長曾我部)ネタを!と言われたら、長くなってしまい4コマに収まらない→
じゃあSS書く?と、いう流れになってしまいました
なにぶん慣れていないもので読みにくいでしょうが暇潰しにでもなってくれれば幸いです。
節分ネタということで当然、兄貴が可哀想な事になっています。
「いい加減、観念したらどうだ長曾我部」
抑揚の乏しい声でヤツはそう告げた。
「どうあっても貴様は逃げられぬ」
その右手がゆっくりと上がる。
「くらうがいい」
来るべき衝撃に備え、思わず目を閉じた。
「鬼はー外ぉーーー!!!」
「いだだだだ!」
豆を思い切りぶつけられた、それも顔中心に。
「てめえ!何しやがる毛利!」
痛む鼻を押さえながら長曾我部元親は叫んだ。
「何をとは、豆撒きに決まっておろう」
再び、豆をつかみながら毛利元就は答えた。
「今日は節分ぞ。鬼に豆をぶつけて、邪気を祓うのだ」
「ってえ!だからって何で俺にぶつけんだよ!」
「何故とは・・・貴様、常日頃から自分は鬼だ鬼神だのと吹聴しているではないか」
「ものの例えだ!そんなに豆撒きたきゃ自分のところの家臣にでもぶつけてろ!」
「うるさい。そのでかい図体で豆を当てられたぐらいで騒ぐな」
「てめえはさっきから顔ばかり狙ってきてるだろうが!」
「あーあ、長曾我部の旦那も気の毒に」
そんな二人の様子を少し離れた所から見ながら猿飛佐助はつぶやいた。
「やけに熱心に豆撒きをやろうとあの毛利の旦那が言うからさ
おかしいと思ってたんだよね」
「・・・」
「口は災いの元って言うの?鬼って自分で言っちゃてるしねーって
大将、聞いてる?」
佐助は自分の隣にいるどこか上の空の真田幸村に話しかけた。
「ああ、去年の節分の事を思い出しておった
あの頃はお館様もお元気であらせられたなと・・・」
「大将、はい」
幸村の手に豆が入った升が渡される。
「佐助?」
「今日は節分だよ、さっき毛利の旦那も言ってたじゃん邪気を祓うってさ。
パーッと豆でも撒いてお館様の病魔も追い払ってやろーぜ!」
「佐助・・・そうだな、病魔など追い払ってやるでござる。
それでは、長曾我部殿ー!鬼は外でござるー!」
豆をぶつけに元親に突っ込んでいく幸村を佐助は笑顔で見送った。
「鬼はー外ぉー!長曾我部よ、逃げるな」
「長曾我部殿ー!鬼は外でござるー!」
「なに真田も混じってるんだよ!」
「お館様の病魔を追い払う為でござる。
鬼役を引き受けてもらって申し訳ないでござる」
「引き受けてねえ!」
「黙れ。」
「だーかーらー顔に当てんな!真田、渾身の力で腹に当てんな!」
「貴様ら何を騒いでいる?」
「石田殿!大谷殿も、節分の豆撒きでござる」
大谷吉継を伴って石田三成が屋敷に帰還してきた。
「豆を撒くというよりぶつけている様に見えるのだが?」
「ある書物に豆をぶつけて鬼役を昏倒させればより多くの邪気が祓われると
書いてあったのでな」
「嘘付け!そんなこと聞いて事がねえぞ!」
三成の疑問に涼しい顔でしれっ嘘を吹く元就に元親がすかさず突っ込んだ。
「貴様が無学なだけだ。なあ、大谷(ニヤリ)」
「確かに大陸の方でそんな習慣があったとなにかで読んだな(ニヤニヤ)」
元就の思惑をくみ取った大谷がその嘘に同調する。
「某、そんな事初めて聞きました!勉強になりまする
長曾我部殿、そんな危険な役を進んで引き受けるとはさすが鬼を自称してるだけありますな」
「嘘だと気付け!真田!」
「うるさい、貴様は黙って豆をぶつけられていればよいのだ。
二人も参加せぬか?いい憂さ晴ら・・・いや、厄払いになるぞ」
「憂さ晴らしって言ったな毛利!それが本音だな!」
元就の後ろ控えていた豆補充員の兵士が豆入りの升を差し出す。
「いや、われはよい。三成よ、ぬしは楽しめばよい」
「刑部・・・家康ーーーッ!」
大谷の言葉に何かのスイッチが入った三成がいきなり豆をぶちまけた。
「ぶはぁ!なんで家康?」
「先日の戦であと少しの所で逃げられたからな」
豆が当たらないよう物陰に避難しつつ大谷が答えた。
「まあ、今宵一晩がんばってくれ(ニヤリ)」
「大谷の旦那、人の不幸な姿を見るのが好きだったよね・・・」
いつの間にか移動してきた佐助がポツリと呟く。
「鬼はー外ぉー!長曾我部よ、散れ!」
「鬼はー外ぉー!お館様ー!」
「家康ゥウ!イエヤッスウゥゥゥ!!!」
「てめえら!いい加減にしろーーー!」
こうして豆撒きは夜遅くまで続いた。
翌朝、ぐったりとした長曾我部元親の姿と大量に撒かれた豆の後片付けと
破損された屋敷の修理に頭を抱える石田三成の姿があったとか。
<終>
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